City of Beers
先日、ネルソンという街に二泊三日の一人旅をしてきました。
私にとっては当初のワーホリ計画で最初に住もうと思っていたけど家探しが難航して断念した因縁の地で、いつかは訪れねばと思っていました。ありがたいことにこちらでの収入で少しずつ貯金もできるようになってきたので、本格的な冬を迎える前にNZはじめての旅行に行っておこうと思い、その目的地に選んだ次第です。
実際に行ってみても事前情報で惹かれた通りに素敵な街で、とてもよい思い出・よいリフレッシュができました。私の旅の記録を通して、みなさんにもネルソンの魅力を感じてもらえたらなによりです。
目次
どんな街か・何をしたかったか
南島の北端にある人口約5.2万人の小さな街です。
北側を海に、東・西・南の三方を山に囲まれた平野で、国内トップクラスの晴天率と日照時間に恵まれていることから「サニー・ネルソン」という愛称があるそうです。
穏やかな気候のもとで国立公園やビーチでのアクティビティをのんびり満喫できる、まさにKiwi(NZ人)の理想を絵に描いたような場所で、”Best places to live in New Zealand” 的なサイトには必ずと言っていいほど取り上げられる人気の街です。
その気候がビール造りの肝であるホップの栽培に適しており、国内最大の生産地として、また、NZのクラフトビールシーンを牽引する街として有名です。ビールが生きがいの(ビールに生かされている)私がネルソンに惹かれた一番の理由はもちろんこれで、旅の第一の目的はビールをたくさん飲むことでした。
今回の旅のもう一つ大きな目的は、とあるビーチを訪れることでした。ファラリキ(Wharariki)という名前のガイドブックにもほとんど載っていないマイナースポットですが、ある写真で世界一有名とも言えるビーチです。皆さんも必ずピンとくるその写真がこちらです。
何かの記事を読んでいたときにたまたま「Windows10のビーチがNZにある」という情報を見つけて、せっかくこちらに住んでいるのだからどんな絶景か実際に見に行かずには帰れまいということで足を運んできました。
🍺🍺🍺
初日は10:00ごろにネルソン空港に着陸、 “Nelson Craft Beer Trail” というパンフレットをゲットしてからさっそく街へ出て飲み始めました。
クラフトビールのタップが並んでいるお店がたくさんあり、味の好みを伝えると店員さんがおすすめを教えてくれてショットグラスでテイスティングをさせてくれます。日本ではしたことのない新しい体験で楽しかったです。私が好きなのはラガーという種類、その中でもピルスナーというスタイルのビールで、しっかり冷やして爽快なのど越しをがぶがぶ楽しむ飲み方を愛しています。日本でクラフトビールというとどうしてもエールという種類の商品が多くて正直あまりそそられないのですが、こちらではラガーのクラフトビールもたくさんあって最高です。
日頃から徳を積みあげているおかげか、サニー・ネルソンが本気を出してくれて滞在中はずっと晴れていて、初日は気持ちの良い青空のもとで昼間から酔っぱらうことができました。
日が落ちるとさすがにテラス席は寒すぎたので早めにホテルに戻って缶ビールで楽しみました(緯度と季節を日本で例えると、函館の12月上旬くらい)。スーパーの品ぞろえも我が家の近所の店舗の倍くらい豊富で、テンションがあがってかなり迷ってしまいました。
二日目、ファラリキビーチへ向かう途中のランチ休憩に立ち寄ったMussel Innというレストラン・ブルワリーを紹介します。地元産の原料にこだわったクラフトビールのシリーズの中でも、キャプテンクックによってNZで初めて造られたビールにインスピレーションを得た “Captain Cooker” が有名です。マヌカハニーでよく聞くマヌカの木で風味付けしているそうです。お土産にボトルを買っていきたいんだけどと声をかけたところ、まさかの「ウチでは売ってないからスーパーで見つけてくれ」とのことでした(かわりにTシャツをゲット)。無事スーパーで見つけた1.3Lのペットボトルは我が家へのお土産にして、Red Squirrelくんと美味しくいただきました。ネルソンの街から車で二時間、山奥のポツンと一軒家という酒場としてはあまりにも経営を心配してしまう立地ですが、ぜひ頑張って良いビールを作り続けて欲しいです。
せっかくなので三日目にはホップ畑を見に行ったりもしました。冬のホップ畑は収穫を終えた枯草の寂しい景色でしたが、羊の群れを眺めながら大スケールの自然を感じるドライブは穏やかな気持ちになれる有意義な時間でした。
帰りの飛行機を待つ空港での最後の一缶までしっかり満喫し、大満足でオークランドに帰ってきました。
🚗🌊🪨
ファラリキビーチはNZ南島の北西端、偶然にもキウィバードにそっくりな形をした海岸線の頭のあたりにあります(赤い丸)。ネルソンの街(赤い四角)から車で約2時間半ということで、二日目を一日充てて日帰りで訪れることにしました。道中、長く険しい山越えが待ち構えていてここを超えるのに体力の大部分を消費しました(特に帰りは日が沈むまでに峠を抜けたいという要素も加わってかなり緊張しました)。自分以外の運転だったら間違いなく吐いてるだろうなという道でした。難所を抜けてからは例によって羊や牛や山や海を眺めつつ、”PENGUINS CROSSING🐧”の標識を見かけてテンションが上がったりしながらひたすらに車を進めました。
ついに駐車場に到着してさあ歩き始めるぞというところで問題が発生。20分コースから5時間コースまでいろいろなルートがある模様1。とりあえず行けばわかるだろうと例の写真の場所をよく調べていなかったのでさっそくスマホを取り出しますが、こんな僻地まで電波が届いているはずもなく。。
往路の運転でかなり消耗していたこともあり一番お手軽なコースを選びましたが、それでも20分のハイキングも結構なボリュームがあり、秘境と呼ぶにふさわしいアクセスの悪さがビーチの価値をいっそう高めているなと感じながら歩きました。
丘を越えて足元が砂っぽくなってきたらそれっぽい岩が見えてきて、
視界が一気に開けて巨大な砂丘に到着しました!
そびえたつ岩石は、数千万年前に陸地の河川の周辺で形成された堆積岩が地殻変動によって海に沈み、侵食されて海食柱という地形になった、という成り立ちとのことです2。崖の表面の模様や角が取れた石からも大昔の川の流れがなんとなく想像できておもしろいです。
肝心のWindowsのフォトスポットはというと、どんな写真だったかその場では検索できなかったのでホテルに戻ってから答え合わせをしたところ、どうやら別の道を行ったところから別の角度で撮ったもののようでした。一番の見どころを逃してしまったのは悔しいですが、実際に行かないと見られない景色を堪能できたということでまあ良しとします◎
ちなみに、後から聞いた話によると野生のアザラシもたくさんいて近づけることでも有名だそうですが、残念ながら私が歩いたあたりでは見つけられませんでした。季節にもよるのかもしれないです。
付録 - 写真でふりかえる旅のハイライト
NZの地理的な中心がネルソンにあり、ちょっとしたハイキングスポットになっている丘の頂上に “The Centre of New Zealand” のプレートとモニュメントが設置されています。何を模したモニュメントなのかよくわからないですが、NZの陣馬山と呼ばせていただきます。
街の電気屋さんのイケてるショーウィンドウ。ちなみにネルソンは国内有数のリンゴの生産地としても有名です。
ホテルの受付で教えてもらった日本食レストラン「Wafu」。お寿司と揚げ出し豆腐にNZ日本酒「全黒」をあわせて美味しくいただきました。
冬のビーチに挑む勇ましきおじいさん。長生きしてください。