The South
大変ご無沙汰しております。更新を長らく滞らせてしまい、お待ちいただいた皆様には申し訳ありません。少し前まで帰国に向けた転職活動を進めており、ブログにかけるエネルギーと時間がなかなか確保できませんでした。おかげさまで諸々落ち着いてきたので、帰国までの残り一ヶ月、積んであるネタを満を持して発信していこうと思います。よければ最後までお付き合いください:)
今回は、10月下旬に南島に2泊3日の旅行に行ってきた日記です。普段生活しているオークランドではできない・見られないニュージーランドを体験したいという気持ちで、南島の中でも南側にあるクイーンズタウンとダニーデンという街を目的地に決めました。厳しい寒さの冬と砂ぼこりがひどい夏という住むには苦労しそうなエリアですが、春のちょうど快適な時期に遊びに行けてよかったです(一週間前だったらオーロラがきれいに見られたそうで、それだけちょっと残念)。
目次
Day1 - Queenstown🚢
「ヴィクトリア女王にふさわしい街」という名前がつけられるほどの景勝地であり、多様なアクティビティが楽しめるNZ屈指の観光都市です。たくさんの人から「NZの観光でクイーンズタウンは外せない」と聞いていたので、訪れるのをずっと楽しみにしていました。
朝イチの飛行機で到着して、まずは街や周辺の山々が一望できる展望台に登りました。麓からゴンドラに乗って行くのが一般的ですが、所要時間1時間程度のトレイルもあり、私はそちらを登ってみることにしました。いざ歩き出してみると予想以上の急斜面のラフなコースで、展望台に着くころには普段のフットサルでも出ないようなとんでもない量の汗をかいていました。景色はもちろん素晴らしかったですが、疲労とTシャツが肌にへばりつく不快感の方が記憶に残っています。。帰りは一片の迷いなくゴンドラの乗車券を購入し、高所の恐怖に耐えながら下山しました。
一目散にホテルの部屋に入ってシャワーを浴びた後は、午後からのクルーズ船ツアーの時間まで湖畔を散歩することにしました。雪化粧が美しいリマーカブルズ山脈を筆頭に、神秘的な力を感じるのも納得できる荘厳な眺めでした。NZの先住民族マオリの神話や信仰には、日本の神道でいわゆる八百万の神をありがたがるのに似た思想があるように思っています。どちらも、圧倒的な自然の力による恵みや災いの元での暮らしの中でそういうイマジネーションが生まれたんだろうと腑に落ちました(反対に、以前カザフスタンに行ったときは、延々と景色の変わらない砂漠の景色に「この環境に神を感じる発想にはならないな」と感じました)。
ワカティプ湖の澄んだ水もとてもきれい
クイーンズタウンでのメインイベントは、アーンスロー号という蒸気機関船でワカティプ湖を渡っていくファームツアーを予約していました。事前に届いていたメールを真面目に読んでおらず、時間に乗り場に行けばいいと思っていたら実はカウンターでチェックインが必要だったようです。列に並んでのんきにブランコみたいな椅子で揺れていたら「チェックインまだだけど大丈夫?」と電話がかかってきました。NZでそこまでちゃんとしたサービスが受けられるとは想像していなかったので、観光都市のさすがのホスピタリティに感心しました(お手間をかけてすいません)。
アーンスロー号はレトロな客室の雰囲気も素敵ですが、個人的にはエンジンルームの見学が一番楽しかったです。炉に石炭をくべる乗員や、世界的にも珍しい現役のレシプロ蒸気機関のむき出しに時間を忘れるようでした。さいわい部屋が熱いおかげで長居せずにすみ、ビールを飲みながら外の景色を楽しむ時間も過ごせました。
対岸のWalter Peak Farmに到着して、ツアーはアフタヌーンティーから始まりました。贅沢な時間の使い方で気分が上がります。
その後、羊・牛・ヤギ・鹿・アルパカ・ロバと牧場を案内してもらって、最後に羊の毛刈りと牧羊犬のパフォーマンスを鑑賞する大満足の内容でした。この旅行の直後に、別の施設で似た内容のファームショーをガイドする仕事があったのでちょうど良い勉強にもなりました◎ 一緒にまわったグループにおそろいのピンクジャケットを着たガールスカウトの子供たちがいて、歌ったり転んだり泣いたり笑ったり、終始とてもかわいらしかったです。正直、動物たちよりも彼女たちに癒されました。
街に戻ってきてからは、超有名店「Fergburger」でハンバーガーをテイクアウェイして、ホテル最上階のテラスで街の景色を眺めながら美味しくいただきました。実はここのところ顎関節症のような痛みで大きな口が開けられないので、このとき発症していなくて助かりました。
Day2 - Dunedin🍺
翌朝からはレンタカーを借りて、次なる目的地ダニーデンに向かいました。NZの大自然の中のドライブは街でのアクティビティに引けを取らないくらい魅力的だと個人的には思っていて、この旅行でも南島の山並みを眺めながらの運転を楽しみにしていました。雪をちょっと心配していましたが結果全然大丈夫でよかったです。
道中、鮮やかなターコイズ色の川が壮観で思わず車を停めてしまうほどでした。周辺の山脈で形成される氷河によって削られた岩石の粉(”rock flour”というらしい)が水に溶け込むことでこういう色になるんだそうです。道路はかなり空いていて煽られることなくゆったりのんびり運転できて、5時間くらいで無事ダニーデンに到着しました。
この日は、ニュージーランドの特に南島を代表するビールブランド「Speight’s(スパイツ、スペイツ)」のブルワリーツアーがメインイベントでした。1876年にダニーデンで創業した老舗メーカーで、ツアー前半の創業者三人の苦労話や会社の発展の歴史は英語の説明もよく理解できて面白かったです。
一番左がSpeightさん。毎日馬車で営業に回り、戻ってくる頃にはいつも泥酔していたそう。
後半は、実際に使われていた・使われている設備を見学しながら製造工程の説明をしてもらいました。リスニングの集中力が途切れてきたのと、なじみのない単語が多くて、残念ながらあまり説明は頭に入ってきませんでしたが、ホップを砕いて固めた玉の強烈なにおい(くさい)は忘れられない思い出になりました。
おまちかねの最後のテイスティングは30分強飲み放題という大サービスでした。それまで退屈そうに見学をまわっていたメタボおじ達がたくさんビールを与えられて幸せになっていたのが可愛かったです。せっかくなら普段飲めないものをと思い、Exclusive(限定)のものを何種類か飲んでみましたが、結局どこのスーパーでも売っているGold Medal Aleが一番おいしく感じました。食べ物なしでたくさん飲むのが危ない気がしたのと、他の参加者の談笑に入っていけず気まずかったので、私は4杯でストップして早退しました。
19世紀後半、金脈を掘り当てんとはるばるスコットランドからやってきた移民によって開発されたダニーデンの街には、いたるところに立派なスコティッシュ建築が建っています。かっこいいな~とは思うものの、世界の建築に関する知識や興味がまったく不足していてそれ以上の感想も特になく、ほろ酔いで散歩をしていると一時間もしないうちに飽きてしまいました。とてももったいないことです。いつかイギリスを訪れる機会があったら、きっと「NZっぽいな」というあべこべな感想を思うんだろうというどうしようもないことを考えながらホテルに帰りました。
Day3 - Oamaru🪨
最終日は帰りの飛行機まで半日観光できる時間があったので、ダニーデンの街から近い「ラーナック城」という昔の大富豪の家と「ロイヤルアルバトロス」という世界最大級のアホウドリの営巣地を見に行こうと思っていました。しかし、前日までで建物を見てまわるのに飽きていたのと、時期と天候的にアホウドリ観察には条件が厳しいということだったので、前日の夜に急きょ計画を変更することに決めました。
仕事でお世話になっているガイド会社のボス(NZ在住20年以上)と旅行前に話していたときに「そのあたりにMoeraki Boulderっていう不思議なビーチがあるよ」と教えてもらったことを思い出し、そこに行ってみることにしました。巨大な泥団子のような、あるいは抽象芸術のオブジェのような岩の球体が散らばっている砂浜です。形成のプロセスをよく理解して自分の言葉で説明するのは難しいので、以下、NZ政府観光局のWebページ1から引用します。
真珠ができる過程に似て、核となる荷電した微粒子の周囲に水晶化したカルシウムと炭素物質が徐々に集積し、約400万年の歳月を経てこの丸石が形成されました。 これら丸石を含む軟らかい泥石地層は約1500万年前に海底から隆起し、その後、風や雨、海の浸食作用によって泥石が洗い流され、浸食されない丸石だけが後に残されたのです。
物理的なスケールの大きさをビジュアルでガツンと感じる山や海とは一味違う、時間スケールの大きさに想像を巡らせて自然の力を感じる体験が面白かったです。
地球の歩き方をめくっていると、モエラキボルダーからさらに車で30分ほど進んだところにあるオアマルという街に「Steampunk HQ」というそそられる施設を見つけたので行ってきました。調べてみると、スチームパンクというのは文字通り蒸気機関の技術発展を中心とした未来感のSFジャンルで、1980年代ごろの情報通信技術などの台頭を背景にノスタルジーを意図したレトロフューチャーとして盛り上がったムーブメントだそうです。ミレニアル世代のコンピュータエンジニアである私は、この世界観にはどうも都合が悪そうな存在と言えそうです。
ガラクタ機械に少年心がくすぐられるかと思いきや、ガイコツや不気味系コスプレのような趣味もスチームパンクとしてまとめられているようで、いざ入場してみると全体的には正直あまりピンときませんでした。。ただ逆に言えば、事前にしっかり計画を立てていたら行こうとは思わなかったかもしれないということなので、気ままな一人旅だからこその新しい感性の気づきの機会が得られたのはよかったです。
さいごに
この旅行はツアーの仕事が忙しかった7~8月を頑張る一番のモチベーションでした。計画通りにトラブルなく終始おだやかな気持ちで南島を満喫できたので、ニュージーランド観光については悔いなく帰国ができそうです◎ ツアーのハイライトはインスタグラムにも投稿しているのでぜひご覧ください。
そういえば、日本では飛行機に乗るたびにほぼ毎回発症する飛行機頭痛をNZの国内線では一度も経験しなかった気がします。飛んでいる高度が低いとか何か違いがあるんでしょうか。