前半戦ハイライト
6月末でNZに来て半年が過ぎました。いまのところ12月頃に帰国しようかなと計画しているので、ワーホリ生活もちょうど折り返しを過ぎたというところです(と言っているうちに、いつも通りちんたら執筆していたらもう8月)。
2月の投稿1では「脱力しに来たつもりが今はまだプチ修行の様相」と書いていましたが、ツアーガイド仕事がピークを越えた4月頃からはかなり心穏やかに過ごせていて、まさに求めていた脱力生活をエンジョイできています。
今回は、半年という節目に際して「こちらで得たもの・感じたこと」「これからやりたいと思っていること」を明文化して残しておこうという真面目回です。
目次
前半戦で得られたこと
また働こうという意欲
冒頭にも書いた通り私のワーホリのテーマは「色々考えずにのんびりすること」に決めています。
前職を辞める決断をしたときは、好きなことを仕事にできて会社にも愛着があったぶん上手くいかないことや納得できないことがたくさん積み重なって精神的に疲弊しており、次はこれがやりたいという情熱がまったく湧き上がってこない状態でした。
そういう精神状態を回復させるにはニュージーランドの田舎暮らしはとても良い環境のように思います。言ってしまえば退屈なわけですが、そのぶん家事に時間をかける丁寧な暮らしができたり、豊かな自然に学びや感動を見出せます。仮にたとえば大学生のときにNZに来て今の生活をしたとしてもそういう価値は感じられなかったと思うので、年を重ねてこその楽しみ方ができているという意味で我ながら良い選択をしたなと思います。
燃え尽き状態を脱するためのもう一つの処方箋は、「働かないと稼げない = 生きていけない」という当たり前のことを思い出すことだとも感じました。まったく新しい土地でコネも経験もない仕事を得て生活していくことは簡単なことではなく、実際こちらでは毎日のように「仕事がない」「シフトが足りない」という話を耳にします。財布のゆとりは心のゆとりに直結するので、私も仕事が安定しなかった頃は落ち着かない気持ちで毎日過ごしていて、安定した収入があることのありがたみを痛感する経験でした。
そんなこんなで最近はだんだん「世の中を良くするものづくりに貢献したい」というモチベーションを取り戻しつつあり、業界復帰に向けた計画も考え始めています(記事の後半でもう少し具体的に書きます)。
英語
家では英語・仕事はほぼ日本語という生活をしています。日本では逆にほとんど仕事でしか英語を話すことがなかったので、日常生活の文脈での不慣れな英語を鍛える良い環境を手に入れたと言えます。
アウトプットに関して口がよくまわるようになったかと言われるとそこまで自信はないですが、語彙の成長は顕著に感じられて嬉しいです。小学生のとき、新しい漢字を覚えるのがゲーム感覚で面白くて国語の授業が一番好きだったのですが、それに似た楽しさがあります。雑につけているNew Wordsリストは今300語くらいです。覚えたと思ったらチェックマークを付けていくようにしていて、それを見返してみると「聞いて・メモして・忘れて・聞いて・思い出して・使ってみる」という反復学習がいかに強力かを実感できます。最近は生活に慣れてきたこともあって更新をサボり気味ですが、せっかくの貴重な時間・環境だということを心に留めてもうちょっと頑張りたいです(ジャンル分けするとここには書けないような下品表現がけっこう幅を利かせているので、それらを埋もれさせるためにも数を増やしたいところ)。
NZの知識
ツアーガイドでお客様に話をするという動機のおかげでニュージーランドについての勉強を一生懸命継続できています。もちろん仕事なのでプレッシャーは小さくないですが、それ以上に、新しい知識を獲得することへのプリミティブな喜びや、仕入れた情報をすぐに実践投入できる面白さに充実を感じています。
一年間ただ現地で生活するだけではとても身につかない量の知識を得て、自分の中に新しい引き出しができたようで嬉しく思っていますが、それだけに満足するのではなくて、
- NZという比較対象を得たことで日本に対して違う見方ができるようになる
- 多文化共生社会であるNZで生活したことで国際情勢への解像度を上げられる
ようなことが大事なのだろうと思います。
最近Xで見かけた「勇気をもってよく勉強してください」というフレーズが心に響いて気に入っています。これから年を重ねても新しいことへの興味や学びを止めることなく、ものづくり以外のアプローチでも怯むことなく世の中を良くするためのアクションを起こしていける人になりたいです。
早寝・早起き
Kiwiは一般的に早寝・早起きで社会システムもその前提で設計されているものが多いので、自然と生活リズムはそうなっていきます。朝は07:30ごろには活動を開始して、夜はだいたい22:00までには夕食後の歓談・ドラマ鑑賞・花札などをお開きにして各自部屋に戻る日常です。土曜日も08:00からのフットサルに参加するために早起きなので、健康的で充実した休日を過ごせて素晴らしいです。
料理
以前にも記事を書いた通り2変わらず自炊は頑張っています。一日三食バランスのよい食事を作って食べようと思うと、お昼ごはんの後ちょっと仕事をしたと思ったらすぐに晩ごはんの時間になってしまうので、フルタイムで働きながらこれを続けられる方々に感服しているところです。
英語と同じく、食文化の学びがたくさん得られることもKiwiとの共同生活をありがたく思っていることの一つです。日本に帰って「ローカル仕込みのニュージーランド家庭料理が振舞えます」と言ったらそれなりに引きがあるんじゃないかという期待もちょっとあります。
逆にRed squirrelくんは和食に興味津々なので、最近は冬らしい身体に染みる系の煮物・鍋ものを作ってしばしばプレゼンしています。「DaikonやChinese cabbage(白菜)は美味しい調理法がわからない」と言っていたので、ぜひ自分でも試してみろとプレッシャーをかけています。少し前には、母親が日本から持ってきてくれた即席麺を使ってFlat Dinnerでラーメン屋さんをやりました。慣れない味で彼らの口に合わないのではと心配しましたが、割と喜んでくれたみたいではりきって仕込んだ甲斐がありました(もやしはイマイチだったけど)。
MT車の運転・メンテナンス
運転に楽しみを求めて手に入れたマニュアル車が早々から不調続きで、残念ながら手間もお金もものすごくかかった前半戦一番の厄介ごとになってしまいました。買ったときからコンディションが良くなかったのか、はたまた私の下手くそな運転が具合を悪くさせたのか、今となっては正確な切り分けは難しいですが、いずれにしても慎重に買い物をしなかった自分のせいだなと反省しています。
とはいえ事故や致命的な故障はすることなく何とか半年だましだまし走ってくれて、不調ゆえの不自由さがかえって私のクラッチ操作・シフトレバー捌きの上達を促してくれたとポジティブにとらえることもできなくはないです。
6月にWoF(NZ的車検)の更新時期が来たのを機にメカニックに精通した知り合いを頼ってがっつり入院させてもらい、先日無事元気になって帰ってきました。具体的な修理・メンテナンスの内容はそれだけで一つのポストが書けるボリュームなので別の機会にまとめるつもりです。初めてのマイカーで無知もいいところの私を手取り足取りサポートしてくれたRed squirrelくん、修理の段取りやその間の代車を手配していただいた方々には頭が上がりません。
後半戦への意気込み
健康に過ごしきる
一度しんどめの風邪をひいた以外は健やかに過ごせています。今後も病院やケガをすることなく、保険も使わずに生活しきって帰国したいです。
長くNZに住まれている日本人の方々とお話する機会がそれなりにあり、自分もこちらでフルタイムの仕事を得て(ビザを切り替えて)腰をすえるのもいいかもしれないと思った時期もありました。結果的にはご縁はなさそうですが実際にアプライした会社もあります。ただ、色々な側面で日本とNZの生活のよしあしを比較してみると、個人的に一番重視したいポイントは「安心して病気できるかどうか」かなと思い、今は日本に帰るほうに気持ちが傾いています。東京で働いていたときは歯医者・眼科・皮膚科には定期的にかかっていました。一年の期限付きであればしっかり準備をしてくればどうにかなることでも、数年単位となると不安になることは割とあります(虫歯とか)。そういう意味では本格的な移住に踏み切れるだけの意気込みはないかなという感じです。
役に立つものを残して帰る
ツアーガイドの会社ではITシステムの構築・開発の仕事も任せてもらっています。安定した収入が得られているのはそれに拠るところが大きく、まさに芸は身を助くといったところです。一般の人よりは詳しいとはいえ初めてする作業・初めて触るツールには勉強が必要で、図らずも専門分野でのスキルアップの機会が得られたことも嬉しいです。
仕事を頂いたからには、できるだけ太く・長く便利を感じてもらえるものを残して帰らねばというのが技術者としての意気込みです。動き出したシステムもあればまだこれからという仕事もあり、日本からしょっちゅうメンテナンスしなくてもよい安定状態を完成させて気持ちよく帰国できるように頑張ります。
ローカルの友達をつくる
日本人以外でこちらで知り合って友人と呼べる関係になれたのは、同居人のRed squirrelくんと、家探し中に優しくしてくれた別の家のオーナーの男の子の二人だけです。特にRed squirrelとは家でずっと一緒にいるので、高専の寮生活を共にした仲間と似たような特別な関係性を感じていて、彼と仲良くなれたことだけでもNZに来た意味があったと言い切れます。ただ、欲を言えばもっとローカルの交友関係を拡げてワーホリ後も交流を続けられる友人を増やしたいです。落ち着いてきた今の生活スタイルと残り時間を考えるとチャンスは多くはなさそうですが、旅行や外食などの非日常を楽しみながらそこでの一期一会を大切に過ごそうと思います。
帰国へ向けた転職活動
日本での社会復帰に向けて9月頃からリモートで転職活動を始めようと計画しています。前述の通りエンジニアリング業界への復帰を前提に、やりたいこと・求める環境などの考えを整理し始めています。
可能性の一つとして、最近は再生可能エネルギーの分野に興味があって、その関連で自分のスキルセットとマッチした仕事が探せたらおもしろいと思っています。その主なきっかけの一つは、国内電力供給の8割以上を再エネでまかなっているというニュージーランドの発電事情を知り、今の時代にそんな世の中が実現可能なんだという気付きを得たことでした(日本とは人口や気候などの前提条件が異なり、総発電量も1/25程度と桁が違うので単純な比較はできない点に注意)。蓄電池技術がゲームチェンジャーになり得るということで、現実的な未来でわかりやすく人類や社会に貢献できる見込みがあるということにも魅力を感じているポイントです。
おわりに
こちらは一番寒い7月を耐え抜いて(といってもオークランドの冬は日本のそれと比べたらはるかにお手柔らかですが)、春の訪れを感じる嬉しい季節になってきました。日本のみなさまにおかれましては、連日の猛暑で体調を崩されないようご自愛くださいませ。それでは!
春を知らせるニュージーランドの国花「コファイ」